fa-arrow-circle-right図解でわかる!法務省の名を騙った架空請求詐欺の実態!
詐欺の手法も時代が進むにつれて、どんどん複雑化していきます。
今回は法務省の名を騙った各請求詐欺の手口について解説します。
多くの詐欺事案は「無視してスルーしときゃOK」というのがほとんどなのですが、中には無視したら大変なことに巻き込まれてしまうこともあるのが厄介です。
今回は
- 督促手続
- 少額訴訟手続
なども含めて詳しく解説していきます。
忌憚のない言い方をするならば、今は情弱であれば情弱であるほど、どんどん詐欺師からターゲッティングされ搾取される時代です。
あなたもトラストリテラシーを上げるために、詐欺師や詐欺業者が用いるテクニックをしっかり知っておきましょう。
目次
架空請求詐欺が増えたのはいつから?
架空請求詐欺のバリエーションは年々増えており、「こんなやり方まであるの!?」と驚きを禁じ得ないものも少なくありません。
架空請求詐欺が特に増えたのは2004年です。
その後、架空請求詐欺手口の分析と公的機関が注意喚起を続けた結果、減少傾向に転じました。
しかし、詐欺師は、新型コロナウイルスなみのスピードで変化するものです。
どんどんその手法を複雑なものに変わり、近年の詐欺はある程度の知識がなければ見破るのが難しくなってきています。
今回、紹介する法務省の名を騙って架空請求詐欺も見破りづらいもののひとつです。
弁護士など法律に精通している人であれば、そうそう騙されることはないでしょうが、普通に暮らしている方々は法を専門的に学ぶ機会など、ほぼないに等しいのも確か。
反対に騙す側は労を惜しまず「いかにすれば、ターゲットを騙して金銭を搾取できるか?」ばかりを考えています。
時代の変化とともに、詐欺師側がどんどん巧妙になっていくという図式です。
法務省でさもありそうな法人の名を使用
さもありなんな名前を使ってくるため、騙されることが多い架空請求詐欺です。
法務省に関して詳しい人は、日本全体の一握りではないでしょうか。
もし
- 法務省認可特殊法人
- 法務省許可法人
- 法務省管轄機構民事訴訟管理局
- 民事訴訟通達センター
などと記載されていたら、それは架空請求詐欺であることを判断する材料となります。
これらはいずれも架空の組織です。
実在の法務省とは一切関係がないのです。
つまり存在しないものをあたかも存在するようにしている詐欺演出に過ぎません。
未知の分野であれば、それっぽい文言が並ぶだけで焦りを覚えたり、パニックになることもあるでしょう。
まずは記載されている文言が、そもそも本物なのかどうかを理解するのが先決です。
ちなみに「法務省の所管法人」は存在するため、こちらの言葉が書かれていた場合は、すぐに詐欺と決めつけることなく、本物かどうかを確認した方がいいでしょう。
圧着はがきの質感まで再現する巧妙さ
詐欺師が何より意識することは、どこまで本物っぽく演出できるか、再現できるかです。
なぜなら本物と見まがうものにできれば、それだけターゲットを騙せる確率が上がり、せしめる金額も増えます。
法務省の名を騙った架空請求詐欺では、圧着はがきを送りつけることで「これは本物に間違いない」と思わせます。
はがした際に、ぺりぺりといった独特の感覚があることが、騙し切る演出になっています。
詐欺は視覚や聴覚からのアプローチが多いものの、手の込んだ詐欺になってくると、このように触覚を含んだ騙し方をしてくることもあります。
詐欺業者が記載している電話番号が虚偽であることも
人はそれっぽく演出されると、すぐに信じ込んでしまうものです。
詐欺業者が法務省を装って送り付けてきた用紙の下部に電話番号が記載されていると「これは本物の電話番号なんだ」と無意識に思い込む作用があります。
携帯電話やスマホ全盛の時代に、固定電話の電話番号を目にする機会自体が少なくなっていますので。
しかし、実際に記載されている電話番号が、まるで無関係のものであることも少なくありません。
中にはまるで関係のない個人の自宅の電話番号をピックアップして、掲載しているケースもあります。
無許可で詐欺業者に電話番号を利用された側からすると、溜まったものではありませんが、こういうことも決して珍しくありません。
無視したら被害に遭うパターンも
性善説よりはある程度の性悪説も含んだスタンスで、生きておいた方が確かなものの、全てを詐欺と決めつけた場合に逆に被害が出るケースもあります。
固い言葉が並びますが、正確な情報を知っていただくために、民事訴訟法第百五十九条の文章を引用しますので、下記の文言をご確認ください。
第百五十九条 当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。
2 相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。
3 第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。
民事訴訟法第百五十九条
と記載されています。
法律のことを専門的に学んだことがなければ、ややわかりづらいと感じたかもしれません。
要約すると「もし裁判所に出頭しなければ、請求の前提である契約締結の事実を自白したとみなす」という意味になります。
出頭しないことで起こるデメリットが、かなりあるというわけですね。
詐欺業者が裁判所を介して種類を送り付けてくるケースもあるため、詐欺かそうでないかの判断はかなり難しいといえます。
裁判所の公的なサイトが下記にありますので、そちらと照らし合わせて確認してみるのがいいでしょう。
実際に裁判を起こされていた場合、訴状に「特別送達」と記載された裁判所の名前入りの封書で、裁判所から送付されてきます。
また、郵便局職員の手渡しが原則であるため、郵便受けに投函されているということもありません。
上記のことをしっかり覚えておくことで、詐欺なのかそうでないのかを見定めやすくなるでしょう。
正規の表記を知り吟味して詐欺を見破ろう
「わ〇〇〇」の表記があると疑うべきです。
法務省の名を騙った架空請求詐欺の葉書で「わ547」など、ひらがなのあとに数字を連ねる表記のものが記載されていることもあります。
車のナンバープレートであれば、様々なひらがなが表記された後に、数字が続きますが、裁判所の事件は種別ごとに、ひらがな、カタカナ、数字が使い分けられています。
民事事件 | 「カタカナ」が「いろは」の順になる(漢字が混在した番号を含む場合も) |
行政事件 | 民事事件に準じて、「行」「カタカナ」あるいは、あいうえお順に続く |
家事事件 | 「家」「カタカナ」(家事事件)、「少」「カタカナ」(少年事件)が、「いろは」順になる |
刑事事件 | 「ひらがな」が「いろは」の順になる |
上記の決まりを覚えておくだけで、偽装されたものなのかを見破りやすくなるでしょう。
訴訟事件はカタカナの(ワ)のあとに、第●号と表記されるものが正解です。(●には数字が入ります)
「××地方裁判所令和○年(ワ)第●号」といった表記であれば、正規の裁判所が発行したものである可能性を考えましょう。
「わ547」といった感じで、どこの裁判所であるかがそもそも記されていないものは、詐欺業者がそれっぽく見せようと作成しただけに過ぎません。
くれぐれも騙されないようにしましょう。
支払督促や少額訴訟手続が裁判所から送られてきた 本物だった場合
もし裁判所から送られてきた支払督促や少額訴訟手続が本物だった場合は、受け取った後、どのような対応をとればいいのか見ていきましょう。
支払督促について
そのまま放置して何も対応しなかった場合には、強制執行されるなどの不利益を被る危険があります。
身に覚えがない請求であれば、支払督促を受け取った日から2週間以内に裁判所に対して「督促異議の申立て」を行う必要があります。
督促手続は債権者からの申立てに基づき、原則として、債務者の住所のある地域の簡易裁判所の裁判所書記官が、債務者に対して金銭等の支払を命じる制度である
民事訴訟法第382条
と説明しています。
設けられている期間に何も対応とらなければ、強制執行されかねませんので、必ず期日内に相応の動きをするようにしましょう。
督促手続制度の特徴
督促手続制度の特徴をチェックしていきましょう。
裁判所書記官は,債務者の言い分を聞かないで金銭等の支払を命じる「支払督促」を発する
民事訴訟法第386条第1項
イ 債務者は,支払督促又は仮執行宣言を付した支払督促の送達を受けた日から2週間以内に,その支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に「督促異議の申立て」をすることができます。
民事訴訟法第386条第2項,第391条第1項
仮執行宣言を付した支払督促について督促異議の申立てがない場合には,その支払督促は,確定判決と同一の効力を有するものとされます。
債権者は「仮執行の宣言が付された支払督促」又は「確定判決と同一の効力を有するものとされた支払督促」に基づいて強制執行の申立てをすることができます。民事訴訟法第396条
ウ ただし,債務者が所定の期間内に「督促異議の申立て」をすると,通常の訴訟手続に移行し,その手続の中で,裁判官が改めて債権者の請求が認められるかどうかを審理することになります。
民事訴訟法第395条
もし、あなたが異議申し立てをしないかった場合、支払い義務が一切ないにもかかわらず、仮執行宣言が出て財産を差し押さえをされる可能性があるということです。
上記に該当する場合は必ず期日までに異議申し立てをしてくださいね。
少額訴訟手続について
続いて少額訴訟手続について確認していきましょう。
指定期日に裁判所へ出頭することなく、また事前に請求を争う旨の書面を裁判所に提出しなかった場合は、「相手の主張を認めた」という扱いになり敗訴する危険性があります。
もしまるで身に覚えのない請求の場合は、指定された期日にきっちりと裁判所へ出頭しなければなりません。
出頭する期日までに、自身の言い分を記載した答弁書を書面にて提出しておく必要があります。
法務省を騙る架空請求詐欺への有効な対応は?
「無視したら被害に遭うパターンも」で解説したパターンではない限り、基本的に何も反応を示さないのが一番となります。
これは全詐欺に共通することなのですが、少しでも「何これ怪しいんだけど…!?」と感じたら誰かに相談することです。
人間はパニック状態になったり、追い詰められるほどIQが下がる性質があります。
詐欺師は、そこを巧みについてきます。
「いかにして相手が正常な判断をできない状況に追い込むか?」ばかりを考えているのが詐欺師と呼ばれる人種なのです。
同居している家族がいる人は、「こんなものが届いたんだけど?」と見てもらいましょう。
単身者でも電話やLINEで家族や友人、知人にすぐ連絡できる場合は「ちょっと相談に乗ってもらっていい?」と連絡するのが大切です。
社会から孤立している人ほど、詐欺師のターゲットにされやすいのは間違いありません。
普段から気軽に相談できるような関係作りをしておきましょう。
届いた葉書や封書を持参し、近くの警察署へ行って相談に乗ってもらうというのもありです。
自治体のサポートなども有効活用しよう
自治体の消費生活センターも有効利用しましょう。
消費者ホットラインの電話番号は 188
「詐欺はいやや(188)」という語呂合わせで覚えておけば、いざという時にすぐ電話しやすくなります。
実際に法務省が送付したものを確認したい場合は、法務省に電話するのが一番の早道です。
法務省の代表番号である 03-3580-4111に電話をかけて、確認してみましょう。
「面倒だ」「自己都合で相手の時間をとらせるのは気が引ける」などの思いは、詐欺師に利用されやすいものです。
全て正確に確認するというスタンスを徹底した方が、詐欺被害を防ぐことに繋がります。
まとめ
今回、紹介したとおり詐欺の技術は、かなり手の込んだものになっており、相応の知識がなければころっと騙されかねないことをご理解いただけたのではないでしょうか?
やはり詐欺の防衛方法や回避策は「何が詐欺で何が詐欺でないか?」という基本原則をしっかり理解することです。
悪質な詐欺被害に遭わないように、あなたも一緒にトラストリテラシーを上げていきましょう。
- 法務省○○○法人、法務省○○○センターなど実在するものか確認する
- 圧着はがきで本物に見えても、架空請求詐欺の場合がある
- 架空請求が届き「怪しい」と感じたら誰かに相談する
- 自治体の消費生活センターを活用する(消費者ホットライン fa-phone-square188)
- 郵便局職員の手渡しで届けられ、裁判所の名前入りの封書で「特別送達」と記載されたもの
- 裁判所の事件表記ルールと同じ(××地方裁判所令和○年(ワ)第●号)