fa-arrow-circle-right図解でわかる!オンラインサロン詐欺
詐欺は姿や形を変えて、いつの間にやらあなたに忍び寄ってきます。
詐欺自体はなくならないかもしれないですが、詐欺の手口や対応策を理解しておくことで、被害を未然に防ぐことが可能になります。
今回は新時代の詐欺といえる、オンラインサロンの実態に迫ります!
深堀していくと、人間の所属欲求や依存心といった普遍的、根源的なところに行き着くオンラインサロン詐欺です。
オンラインサロンというビジネスや、それを利用した詐欺がいつ始まり、どういった人が騙されてきたのか解説していきましょう。
目次
オンラインサロンの概念を作った岡田斗司夫
岡田斗司夫さんの名をすでにご存知の方は、結構なオタクやサブカル好きかもしれません。
アニメ会社ガイナックスの立ち上げに関わり、代表取締役を務めるものの、社員のクーデターで追放されたり、2015年には、愛人騒動でかなり話題になるなど破天荒な人物です。
愛人リストの流出など、女性スキャンダルが取り沙汰された2015年にDMMで『岡田斗司夫ゼミ室』という名前のオンラインサロンを始動させていることから、そのたくましさがわかりますね。
フリックスがオンラインサロンの前身だとすれば、『岡田斗司夫ゼミ室』は様々な実験が済んだ後に発展したサロンという捉え方ができるでしょう。
ちなみにガイナックスは、『ふしぎの海のナディア』『新世紀エヴァンゲリオン』など後世に語り継がれる名作アニメを複数生み出しました。
鬼才、庵野秀明が世に出るまでに岡田さんは深く関与しています。
2007年8月16日に発売された岡田さんの著書「いつまでもデブと思うなよ」というダイエット本は50万部を超えるベストセラーになるなど、作家として優れているのは間違いないでしょう。
岡田さんといえばサイコパスを自認しており、人格者とは程遠いものの、それゆえに規格外の発想で時代の移り変わりを予測します。
頭が抜群に良く、先見性があるのは間違いありません。
同じくサイコパス路線をひた走る2ちゃんねるの創設者、ひろゆき氏も岡田さんの著書を読み漁るなど、大きな影響を受けたことを自身のYouTube動画の中で認めています。
かなり多才な岡田さん。
実は彼がオンラインサロンブームに、大きな貢献をしていたことは意外と知られていません。
始まりは2012年に岡田さんが立ち上げた組織フリックス(FREEex)でした。
時代の先を行き過ぎた岡田斗司夫のフリックス
岡田さんは、人を率いたりまとめる才能に長けています(組織の長として長続きしづらいようですが……)。
自己肯定感がべらぼうに高く、自著の中で「歴史に名を残す大宗教家と比較しても、自分の存在価値は遜色ない…どころか、彼らを超えているに違いない」といった旨のことを記したことも。
自分のことを「傑出した人物」と思い込めるのは、もはや才能です。
そしてカルト信者的な人間を集められる人間は、総じて異常な自己肯定感、自己重要感を持っているものです。
誤解を恐れず述べるなら、麻原彰晃も、比類なきカリスマ性があったからこそ、国家転覆を企図する集団を形成できたのでしょう。
漫画家・島本和彦さんの自伝的作品『アイオノホオ』の中で、岡田さんと対面した際の印象を忠実に再現しているシーンがあります。
その中で『「俺ってすごいやろオーラが‼」だだ漏れに出ている‼』と、呆気にとられるシーンがあります。
もちろん漫画なので誇張表現も含んでいるでしょうが、あながち間違っていない感じもしますね(笑)
そんなカリスマ岡田斗司夫が2012年に、フリックス(FREEex)という組織を立ち上げました。
会社などの組織は、トップが部下たちにお金を支払うシステムです。
しかし、フリックスは正反対です。
集まった人が岡田さんにお金を支払うのです。
ちなみにフリックスの入会条件は「金銭的に余裕のある人物」とされていました。
実質、フリックスが岡田さんの後援会的な役割を担っていたといっても過言ではありません。
金銭的な余裕のない人は、フリックスに入ることすらできない仕組みになっていたのですから。
まさに「教祖ビジネスの先駆け」という印象を覚えますね。
やはり天下の岡田斗司夫と間近で接するメリットに心が動いた人は少なくなく、結構な数の人間が集いました。
フリックスの中でだけ使えるフリックス内貨幣を考案するなど、日本の内部に価値観の異なるもうひとつの国を作った感のある岡田さんです。
常人であれば、こういった突飛な着想は生まれなかったでしょうし、現実化させられなかったはずです。
2015年以降、フリックスは、代表が岡田さんから久留茂さんに変わり、今も継続している模様です。
当時としては、かなり突飛な岡田さんのアイデアでした。
「それって、ヤバくないっすか!?」と訝る人もいましたが、一方で「その発想はすごい良い!」と飛びついた有名人がいました。
彼の名は堀江貴文です。
実はそれこそが、のちの一大オンラインサロンブームにつながっていくのです。
岡田斗司夫と交流のあったホリエモン、西野亮廣が己のビジネスに導入
時代を動かす力のあるトップの人達は、頻繁にコミュニケーションをとり情報やアイデアの共有を行っています。
岡田さんと、ホリエモンこと堀江貴文さんも例外ではありませんでした。
岡田さんと堀江さんといえば、お互いの主催する企画や番組にゲスト出演し合うなど、旧知の仲です。
フリックスを始めた岡田さんの取り組みを知った堀江さんは、大きく頷き「それって、超面白い発想っすね!」と大絶賛しました。
噓やべんちゃらが三度の飯よりも嫌いな堀江さんは、本当に納得したものにしか賛辞を贈りません。
恐らく岡田さんからフリックスの話を聞かされた際に、明晰な頭脳をフル回転させて、具体的な青写真を描いたのだと予測できます。
ワクワクすることはすぐ行動に移すタイプの堀江さんです。
思い立ったが吉日とばかりに、2014年自身が主催するオンラインサロン『堀江貴文イノベーション大学校』を立ち上げます。
その後の躍進は、みなさんもご存知の通りです。
岡田さん、堀江さんと交流のあったキングコングの西野亮廣さんが『おとぎ町商工会(現・西野亮廣エンタメ研究所)』を開設するなど、後に続く人間がどんどん増えます。
2018年にはオリエンタルラジオの中田敦彦さんが、『RROGRESS』というオンラインサロンをスタートしました。
西野さんと中田さんは、すでに吉本興業から独立していますが、オンラインサロンを始めた際はまだ吉本興業の所属タレントでした。
「酒を飲みかわす仲」というふたりなので、色々オンラインサロンに関する情報交換をしていたかもしれません。
このように岡田斗司夫というひとりの怪物が、影響力絶大のインフルエンサーにオンラインサロンという新たな概念を伝えて、それが数年に渡りすごい速度と規模で拡散、拡大していったのです。
ただしオンラインサロンが一般の人達に周知されると、当然、金のにおいを嗅ぎつけた輩がやってくるものです。
マスコミなどを通じて「オンラインサロンは儲かる!」と周知された時点で、「オンラインサロン詐欺の土壌はすでにできあがっていた」といっても大げさではないでしょう。
オンラインサロンブーム到来後、怪しい人が次々に参入
詐欺師の嗅覚を馬鹿にしてはいけません。
彼らはお金を巻き上げるチャンスさえあれば、労力を惜しみません。
そしてすぐに行動を起こします。
詐欺師として稼げる人は
- 瞬発力
- 行動力
- 発想力
- 良識のなさ
- 罪悪感のなさ
が図抜けています。
「瞬発力&行動力&発想力」に「常識」が加われば何の問題もないのですが、詐欺師にモラルを求めるのは無茶な注文です。
犬相手に「にゃーと泣け!」と言っているようなものです。
人を騙すというのは、大変けしからんことですが、多数の人を騙す詐欺師ほど頭がよく回るのは否めません。
色々な詐欺について調べていると、「クレバーな頭脳と口のうまさと情熱があるなら、合法的なビジネスでも成功できるのになぁ…」と心底感じます。
まあそれは置いておいて、「オンラインサロンは稼げるらしい!」と噂を耳にした詐欺師達がたくさん行動し始めたものだから、さあ大変です!
しかもオンラインサロン詐欺の被害は、なかなか露見しませんでした。
なぜならオンラインサロンは性質上、極めてクローズドな世界で展開されるからです。
「宗教と酷似したビジネス」と揶揄されることも多いオンラインサロンです。
確かに情報隠ぺいしやすく、何が起こっているのか外部に漏れないのは、悪だくみをする方からすると願ったり叶ったりです。
詐欺師が着目するビジネスには、着目されるだけの理由が必ずあります。
オンラインサロン詐欺の実態
2020年、オンラインサロンの国内市場規模は約86億円にまで膨張しました。
それだけの規模拡大にいたったのなら、玉石混交になるのは火を見るよりも明らかです。
リーズナブルなオンラインサロンだと聞いて入会してみたら、後からどんどんお金を要求されて最終的にはかなりのお金を搾取されているケースがあります。
名目は「自己成長」「充実した生き方を手に入れる」など綺麗にカモフラージュしているものの、オンラインサロン詐欺の罠を仕掛ける詐欺師の目的はただひとつです。
会員から、お金を巻き上げることのみ!
クローズドな環境に入ると、人はとかく客観性を失いがちです。
日本人は同調圧力に大変弱い傾向が……。
周囲が主催者を教祖のようにあがめていると、「みんなが尊敬している人だから、言っていることも正しいはず」とバイアスがかかります。
サロン内で事業への出資を持ちかけられたり、「必ず高騰する!」という外貨の購入を勧められるケースがあります。
言われるがままに従った結果、数百万円を失った被害者も存在します。
繰り返しになりますが、クローズドな空間で展開される詐欺は、立証や立件がかなり難しいのです。
他にも「月々数千円の会費だから入ったのに、月間数万円もするプレミアム会員プランへの移行を勧められ、支払った金額に見合うようなサービスを受けられない」という苦情も報告されています。
詐欺師は間口を広くしておいた方が儲かることを、経験的に理解しています。
法外なお金を請求された時点で「これは、おかしいぞ!」と引き返すことが、オンライン詐欺の被害を未然に防ぐことになるでしょう。
オンラインサロン詐欺とマズローの5段階欲求の関係
『マズローの5段階欲求』は、様々な場所で語られてきました。
アブラハム・ハロルド・マズローはアメリカの心理学者です。
たくさんの著書や論文を発表してきた彼ですが、中でも特筆すべきは「人間の欲求の階層」など一般の人が理解しやすく興味深い考えを提唱できる点です。
それこそが死後50年以上経過しても、未だマズローの名が脈々と語り継がれる理由なのです。
『マズローの5段階欲求』とはどういったものであるのか、またそれが詐欺師達の行う人心掌握にどう深く紐づいているのかを詳細に解説していきましょう。
- 生理的欲求
- 安全の欲求
- 社会的欲求
- 承認欲求
- 自己実現の欲求
上記5つの階層に分かれています。
自己超越の欲求がさらに上へ位置するという説もありますが、今回は5段階に絞り話を進めます。
5段階欲求の中で詐欺師に利用されやすい欲求は?
重要度でいえば、
となり右側に行くほど、高次元となります。
生理的欲求は、食欲、性欲、睡眠欲など三大欲求などに関連しており、最も原始的なものといえるでしょう。
安全の欲求は、飢餓状態に陥らない生活、雨露をしのげる場所で暮らしたい、治安の良い場所で生活したい、など人間の安全に直結する欲求です。
オンラインサロン詐欺を仕掛ける側が利用するのは、上記よりも高次の欲求です。
社会的欲求は、別名「愛の欲求」と表現されることもあります。
社会には、愛情飢餓状態の人が意外と少なくありません。
生育環境が複雑であったり、親に甘えて愛着を築くべき時期に愛情をもらえなかったなど、理由は各々によって異なります。
こうした人達は、甘い言葉に弱く、愛情深い態度を少し取られるだけで「一生この人についていこう!」「何があっても、このサロンから離れないぞ!」と思いがちです。
やり手の詐欺師からすると、自由自在にコロコロと手の平の上で転がしやすいのです。
詐欺師は愛情不足の人と会話しながら、内心「イージーゲーム!」と、朝倉海の左足をカーフキックで破壊した直後の堀口恭司のように、叫んでいることも珍しくありません。
その上の承認欲求ですが、この欲求は所属する快楽を含んでいます。
劣等感の強い人ほど、すぐ虎の「威を借る狐状態」になるものです。
有名人の主催するオンラインサロンに所属しただけで、自分もインフルエンサーと同じような価値を持っているような錯覚に陥るケースも。
もちろん著名なのは、インフルエンサーであって、そこにお金を払って所属している人ではありません。
「俺はこのオンラインサロンに入っているから、パンピーとは違うのさ」と謎すぎるマウンティングをする人だっているでしょう。
強すぎる承認欲求を持つ人ほど、詐欺師からするとまさにイージーゲームです。
「あなたは他の人とは違う何かを持っているね。それが俺にはわかる!」と、サロン主催者から語られただけで舞い上がり、「やっと自分の価値を見抜いてくれる人が現れた!」と有頂天になります。
むろん、サロンへ誘い込む際は全員に上記の言葉を掛けているのは、言うまでもありません。
不遇であったり、不幸で他者から承認されてこなかった人生を歩んできた人ほど、ドラクエに出てくるフーセンドラゴンなみに、承認欲求が膨らむといわれています。
最も高次元の欲求、自己実現の欲求はかなり曖昧模糊とした欲求といってもいいでしょう。
向上心があったり、ある程度の成功をすでに収めている人が、この自己実現の欲求を目指す段階にあることもあります。
ある程度、裕福な生活を送れていたとしても、「あなたは心の底からやりたいことをやって、お金を稼げていますか?」と問われれば、多くの人が首を横に振るのが、今の日本社会です。
詐欺師たちは「これまでのライスワーク(ご飯を食べるための活動)という生き方を捨てて、ライフワーク(夢や自分の好きなことを追い求める活動)に切り替えましょう!」とよく口にします。
ライスワークを捨てるように誘導して、どんどんお金を巻き上げるオンラインサロンを主宰する詐欺師は、懐を肥やし「オンラインサロン詐欺最高!メシウマッ!!」と、ほくほく顔になっているのです。
なんだかこちらの項目を書いていて、むしょうに腹が立ってきました(笑)
まとめ
令和になってもオンラインサロン詐欺被害は、まだまだ報告されることが予測されます。
かなり乱暴な言い方になり恐縮ですが、「教祖ビジネスでお金を払う=教祖の養分になる」くらいに捉えておいた方がいいでしょう。
もちろんリーズナブルな料金で、有益な情報を提供してくれたり、サロンメンバー同士でワクワクするビジネスを展開できるサロンもあります。
ただし、その反面、人間が持つ根源的な欲求を巧みに利用して、私腹を肥やす輩が少なくないことも覚えておいてくださいね。
新型コロナウイルスの蔓延で、社会情勢や人間の情緒が不安定になればなるほど、詐欺師達は「チャンス到来!」と舌なめずりしています。
『きづこう会』の掲げる理念「トラストリテラシーを高める」が広がると、詐欺被害は確実に減らせることでしょう。