fa-arrow-circle-right図解でわかる!仮想通貨詐欺の実態
我々の生活は、仮想通貨との距離がどんどん近づく一方となりつつあります。
当人が仮想通貨に関連していなくても、家族の誰かや友人、知人、会社の同僚などを見渡すと、必ず誰かがやっているはずです。
詐欺は人やお金の集まるところで、必ずといっていいほど頻発するものです。
令和時代は仮想通貨詐欺が、今よりもさらに増えることが予想されています。
これ以上、仮想通貨詐欺の被害者を増加させないためにも、その実態と取りうる対策について見て行きましょう。
目次
市場が整備されていない段階ほど詐欺が横行
どの業界でもそうですが、黎明期というのは法整備されていません。
例えば、ネットの世界に目を向けても、法規制が後手になっているのはご存知のとおりです。
仮想通貨の世界自体がまだ成熟していないため、法が追いついていない節も…。
ビットコインは有名ですが、それ以外にも仮想通貨の種類は夥しいほど存在します。
2017年の時点で時価総額の流通量は2兆円で600種類あります。
さらに大規模な市場への発展は確実でしょう。
仮想通貨でよく使われる用語を解説
仮想通貨はなじみのない人からすると、かなり複雑な世界です。
ある程度、理解している人でも全ての詳細を把握するのは至難の業です。
最も危険なのは、うろ覚えの状態で仮想通貨に興味を示すことです。
詐欺師からすると、知識のない人の参入はカモネギでしかありません。
まずはどういった用語がよく使われており、どんな意味を持つのかを解説しましょう。
ブロックチェーン
仮想通貨と密接に関係する言葉として、ブロックチェーンというものがあります。
ビットコインが取り上げられるにつれて、ブロックチェーンへの理解も広がるようになりました。
ブロックチェーンという言葉を普及させるきっかけになったのは、ビットコインの誕生に深く関与したサトシ・ナカモト氏が書いた論文です。
当時は「ブロックチェーンって何!?」という人ばかりでしたが、ビットコインの普及と共にゆっくりと知られるようになりました。
ブロックチェーンを和訳すると、「分散台帳」になります。
分散台帳とは、銀行で取引を記録するために用いる台帳のことです。
ビットコインの取引履歴を全員で共有することにより、監視するシステムがブロックチェーンなのです。
参加者が共通の台帳を使うことで、よこしまな行為や犯罪を避けやすい仕組みになっています。
仮想通貨の世界は匿名ですが、取引履歴は全て閲覧が可能です。
ビットコインの場合、取引の中身は「10分に1回ブロックに収納される」と決まっており、それがチェーンになる仕組みのため、ブロックチェーンと名付けられました。
一部分を書き換えることは実質不可能で、書き換える際は全てを書き換えなければいけません。
それには膨大な時間が必要となります。
つまり改ざんすること自体がかなり難しいシステムなのです。
マイニングって何?
ビットコインをする人が頻繁に口にするマイニングは、「採掘する」という意味を持つワードです。
取引データを承認する作業のことなのですが、価値が低い大量の石から金などを掘り出す作業によく似ているため、マイニングと呼ばれるようになりました。
前記したとおり、ビットコインは10分間に1回、ブロックに収納される仕組みになっています。
採掘できる量に限界あります。
マイニングでは、10分間に1回の計算の競争を行います。
ちなみにユーザーはマイナーと呼ばれています。
ユーザーは計算速度を競う形となり、マイニングの速度で勝利した人間がビットコインをGETします。
報酬として手に入るコインは一定ではありません。
マイニング報酬が50ビットコインだった時期もありましたが、半減期の対価は下記のように下降の一途を辿ります。
- 50ビットコイン
- 25ビットコイン
- 12.5ビットコイン
時期によっては報酬でもらえるコインそのものが少なくなるのです。
ビットコインは、半減期を4年に1度設けることで発行量を調整する為、10年に2回は必ず半減期が訪れます。
これまでの半減期は
- 2012年12月
- 2016年7月
- 2020年5月
上記でした。
ビットコインの半減期の前後は、マイニングの報酬が上昇しやすいといわれております。
2020年5月の半減期から466日後となる2021年8月頃に、「またビットコインの価格が高騰するのでは?」という予測されています。
トークンとは?
トークンとは、仮想通貨を利用するために使うチケットのようなものです。
ゲームセンターのメダルをイメージすると理解しやすいでしょう。
トークンは単なるチケットに、とどまりません。
トークンを手にした人間がトークンを使い仮想通貨の入手が可能になります。
そのトークンが仮想通貨の取引のように上場されると、高い評価を獲得し値段がついていくのです。
日本ではまだあまりなじみのないトークンですが、中国をはじめとする海外の国はトークンをどんどん発行し続けています。
労働時間そのものをトークン化して、様々な場所で働いた時間にトークンを流通し、労働時間の改ざんを防ごうというアイデアも出ています。
まさに「未来社会の概念」という感じですね。
副業が盛んになってくるにつれて、「副業の勤怠をブロックチェーン管理する」という概念は、より一般的になるかもしれません。
その際「いかにトークンを用いるべきか」?は、議題となるでしょう。
詐欺師は仮想通貨詐欺でも権威を巧みに利用!
詐欺の種類はたくさんあれど、その手口はよく似通っています。
詐欺師はどの時代にも使う手法です。
それは権威ある有名人の力を借りることです。
「あの有名人が推薦しているのなら信頼できる」「あの富豪が言うんだったら安心だ!」と、つい納得してしまう心理をミルグラム効果(権威への服従原理)と呼びます。
ミルグラム効果によって、ころっと騙されてしまうのが我々人間だというのを忘れないようにしましょう。
被害甚大!偽イーロン・マスク現る
アメリカの実業家で、世界的なセレブであるテスラ(電気自動車企業)の最高経営責任者イーロン・マスク。
実は彼の名を語った詐欺が発生し、偽イーロン・マスクに翻弄されるという被害に遭遇した人達がかなりいた模様です。
米連邦取引委員会(FTC)の報告によると、偽イーロン・マスクに騙されてしまった数十人の人間が、米連邦取引委員会へ支援を求めました。
イーロン・マスクといえば、全世界に強い影響を持つといっても過言ではない大人物です。
彼の言動は世界経済を動かします。
頭に血が上りやすい性格の彼は、過去にソーシャルメディアで過激な発言をした結果、テスラ社の株が急落したこともありました。
以前、アメリカのNBC(National Broadcasting Company)の『サタデー・ナイト・ライブ』という番組へ実際に出演し、仮想通貨について語ったこともあるイーロン・マスク。
詐欺師はいつの時代も「誰の権威を利用すれば、人を騙しやすいのか?」を隈なくチェックします。
イーロン・マスクの発言を目の当たりにした後、「近々イーロン・マスクのふりをすれば、かなり騙せる」と企んだのでしょう。
「あなたが持つ仮想通貨を送っていただければ、何倍に増やしてお返しします」といった甘言をささやいたというのです。
イーロン・マスクのなりすまし被害の総額だけで200万ドル以上です。
いかにたくさんの人達が、騙されたかがわかるエピソードです。
また、過去にイーロン・マスク氏のツイッターが乗っ取られ、「1万ビットコインを全てのコミュニティにプレゼント」と大盤振る舞いアピールのつぶやきが行われた例がありました。
もちろんこれは虚偽のツイートです。
乗っ取られたアカウントには、認証済みバッジがついてこともあり、たくさんの人がイーロン・マスク本人であると信じ込みました。
その結果、世界中の人達が偽イーロン・マスクのツイートをリツイートしまう事態に……。
テクノロジーが進歩した分だけ、詐欺師が人を騙す技術も手の込んだものになります。
権威ある人物だからといってすぐに信じずに「怪しい点はないか?」とじっくり確認することが大切になるでしょう。
イーロン・マスクに戦々恐々のウォール街
世界の金融の中心であり、桁違いの大富豪が多いアメリカのウォール街が、何とイーロン・マスクたったひとりを強烈に意識しているというのです。
もちろんそれには理由があり、イーロン・マスクが仮想通貨、暗号資産の市場であまりにも大きな影響力を持つ存在だからでしょう。
2021年5月13日にイーロン・マスクが、「テスラ社のビットコイン決済を中止する」と発表し波紋を広げています。
彼の意図としては「環境への影響を懸念して」というものなのですが、「相場操作で、儲けたいだけでは!?」という見方がされるのも事実です。
「イーロン・マスクがビットコイン売却を示唆した!」という解釈がなされれば、仮想通貨市場は、容赦なく翻弄されざるをえません。
テスラによるビットコインの新規売却自体は、その後、公的に否定されたものの、こうしたイーロン・マスクの発言などを受けたウォール街では「暗号資産(※仮想通貨の別称)そのものを警戒すべきだ」と口にした者もいました。
このようにウォール街では「仮想通貨=ネガティブなもの」と捉える人もかなり多いのです。
調達資金を持ち逃げするICO詐欺とは?
仮想通貨に関連の深いInitial Coin Offering(イニシャル・コイン・オファリング)という言葉があります。
略してICOという使われ方をします。
ICOは新規仮想通貨公開という意味です。
仮想通貨を作った企業やプロジェクトチームが、オリジナルの仮想通貨を発行し、投資家に買われることで資金調達を行います。
ICOが詐欺に利用されやすいのは否めません。
オリジナルの仮想通貨を投資家に売り続け、資金調達が整った段階でそのまま持ち逃げしてしまえば、仮想通貨を購入した投資家からすると、無用の長物が手元に残るだけです。
「ICO=詐欺」というわけではないものの、ホワイトペーパー(事業計画書)の中に記載されているロードマップ(進行計画案)を読み込んでおかないと、仮想通貨詐欺に遭遇しかねないのもまた事実なのです。
かなり多い!?仮想通貨の詐欺コイン
年々増え行く仮想通貨の銘柄を全て把握することは、不可能に近い分、何が正規の仮想通貨で何が詐欺コインと呼ばれる偽物なのかを見破ることが困難になっています。
「詐欺コインなのでは?」と噂されるものをいくつか例に挙げながら説明していきます。
詐欺コイン疑惑①「クローバーコイン」
日本経済新聞で詐欺コインのように紹介されたため、かなり詐欺コイン疑惑が高まっているクローバーコイン。
仮想通貨の世界は勉強会やセミナーが頻繁に行われます。
クローバーコインのセミナーへの参加者に対して「必ず3カ月で128倍の価値になる!」と爆上がりを確約しています。
「仮想通貨に関するセミナーを開いている時点で、かなり怪しい」といわれやすいのも確かです。
公的なサイトに公明正大な文章を記載できないということは、大っぴらにしづらい何かがあると疑われてもしかたありません。
クローバーコインのように「仮想通貨について学べるセミナーを特別あなただけに教えます」といっている時点で、仮想通貨詐欺の嫌疑をかけられてもしかたないといえるでしょう。
詐欺コイン疑惑②「ジュエルコイン」
詐欺コインかどうかを見定める基準のひとつに、上場しているかどうかが挙げられます。
ジュエルコインは、ずっと上場されていないだけでなく、深く関与しているといわれる八神智成氏に対して詐欺の噂が絶えません。
仮想通貨取引所での購入が不可能な点も「それってどうなの!?」と疑われてしまう点でしょう。
「ジュエルコインは、ザンビア共和国で採掘されたアクアマリンを使って発行している」というのが触れ込みですが、何年経過しても依然、実態がわからないままで、「2015年秋に知人のすすめでジュエルコインを購入したものの、使い道がわからず放置中…」というお悩み相談も見つかりました。
ジュエルコインに関する公的なサイトが見つからず、不審な点が多すぎるため、「極めて黒に近いグレー」というのが仮想通貨の投資業界内評価になっています。
リップルは詐欺コインにあらず!?
ビットコイン、イーサリアムに続いて、メジャーな仮想通貨といえるリップル(XRP)です。
仮想通貨のメリットをアピールする際に「中央集権的な管理する主体が存在しない」という文言をよく耳にします。
リップル自体は、ビットコインとは異なりリップル社が企業体として運営しています。
リップルの売りは何といっても、そのスピードです。
決済処理速度を比較すると
- ビットコインの速度→最短10分(600秒)
- リップルの速度→最短4秒
と実に15倍の違いが見られました。
独自性を出すことに成功しているリップルですが、一部では「リップルって詐欺コインじゃないの!?」という噂があります。
結論から述べるなら「リップル=詐欺コイン」という認識は間違いでしょう。
ある事件が起きたことで、「リップルって詐欺コインなのでは?」という印象を抱く人が出てきました。
2017年10月18日に取引所『リップルトレードジャパン(RTJ、浜松市)』の代表を務める竹中優樹容疑者(当時31歳)が、警視庁サイバー犯罪対策課に詐欺の容疑で逮捕されたのです。
竹中容疑者は、宮城県の四十代男性をはじめとする複数の人間から、トータルで1,700万円を騙しとった嫌疑がかけられています。
こういった詐欺被害を、仮想通貨についてまだよく理解していない人が聞いた場合「やっぱり詐欺が横行する世界」とネガティブな思いを抱くことは想像に難くありません。
上記の事件に関しては、「リップルという仮想通貨を詐欺師が利用した」という見方が正確でしょう。
仮想通貨詐欺はこれらの項目をチェック!
ビギナーであれば何が正解なのかすら掴みづらいのが仮想通貨の世界です。
もし、下記をチェックしてみて、複数該当するようであれば「これは詐欺かも!?」と疑った方がいいでしょう。
- セミナーに誘われる
- 代理店への販売委託をしている
- 有名人の権威を広告的に利用
- 最低購入金額が10万円を超えている
- 「価格保証」「買取保証」の文言がある(または勧誘する際に口頭でこれらの言葉を伝えてくる)
- 金融庁などの行政機関が関連していると謳っている
- 日本のみで売られ世界では売られていない
- 日本円での売り買いが可能
前述したようにとりわけ多いのが、セミナーへの誘いです。
「仮想通貨は誰でも作れる」とよくいわれますが、作ったとて、その全員が儲けられるわけではありません。
仮想通貨詐欺を仕掛ける側は
- 仮想通貨を発行し販売
- 勉強会やセミナーを開く
- うやむやにして、とんずら
上記の3ステップでお金を騙し取ることが多いので、注意しましょう。
まとめ
仮想通貨詐欺のようにクローズドなコミュニティで行われるようなものほど、詐欺が発生しやすく、しかも被害者が被害を立証しづらいのが近年の詐欺の特徴といえます。
オンラインサロン詐欺なども同様なのですが、閉鎖されている環境にいると相談できる人が少なくなり騙されるリスクが上がります。
新しいもの好きで好奇心旺盛な人ほど、騙されやすい仮想通貨詐欺です。
もし、仮想通貨を購入するにしても、すぐに飛びつかず
- 今後、上場する可能性は高いのか?
- ホワイトペーパー(事業計画書)やロードマップ(進行計画案)に信頼できることが記載されているのか?
などをしっかり読み込みましょう。
新時代の概念の仮想通貨に関する詐欺は、恐らく増えることはあっても減ることはないはずです。
購入する側がトラストリテラシーを高めて、賢く立ち回る必要があるでしょう。