fa-arrow-circle-right図解でわかる!メールを用いた架空請求詐欺の実態
架空請求詐欺は、様々なバリエーションがあります。
今回はメールを使った架空請求詐欺について解説します。
どういった文章を送りつけ不安を煽り、金銭の詐取を行うケースが多いのかなどを詳細に見ていきましょう。
メールが身近になったからこそ、注意したい架空請求詐欺の実態に迫ります。
目次
架空請求メールの種類
架空請求詐欺のメールで最も多いのが、SMSと呼ばれるショートメールを使ったものがあります。
ショートメールは相手の電話番号を知っていれば、送ることが可能です。
詐欺業者は、ランダムに様々な番号へ大量の架空請求メールを送りつけます。
大半は無視されるものの、中には詐欺メールについ反応してしまい、お金を振り込んでしまう人も存在します。
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる手法で、詐欺師達は毎日大量のメールを送り続けます。
SMSは、携帯電話の契約に関するものなど「時々送られてくる重要な内容を掲載しているもの」といった認識している人も少なくありません。
いきなりSMSで「料金の支払いが滞っています」「未納ですので〇〇までにお支払いください」などといった内容が送られてくると、たちまちパニックに陥る人もいるでしょう。
携帯機器を最近、使い出して不慣れな高齢者ほど、操作をしっかり覚えていないこともあり「何か間違えてボタンを押してしまったのでは…?」などといった不安にさいなまれることも少なくありません。
架空請求メールの事例
- 出会い系サイトなど、利用や登録した覚えがないところからメールが送信され、支払いを催促される
- 債権回収代行業者から、料金未納などの支払いを督促する内容が届く
もし、一度でも詐欺業者にお金を支払ってしまうと、「いいカモが見つかった!」とばかりに複数回に渡ってお金を請求されるケースも珍しくありません。
料金を支払うことが大前提のアプローチを仕掛け、心配顔のターゲットに「大丈夫!保険を使って支払えば何とかなりますよ」と励ますように告げ、お金を詐取する事例も報告されています。
詐欺は初期対応が肝です。
感情的な反応は一切見せず、全てスルーするというのが唯一の正解となります。
架空請求メールが発端で4,850万円の被害が出た事例
架空請求詐欺は、時によって甚大な被害をもたらすものもあります。
過去に4,850万円もの大金が詐取された事例を紹介しましょう。
2020年の夏に埼玉県で、一通のメールがきっかけで大きな被害の出た事件が起こりました。
埼玉県のさいたま市緑区在住の男性(72歳)のもとに「記載の番号に電話をして下さい!」というメールが届き、男性が連絡しました。
通信販売の会社員や弁護士を名乗る男は、「会費が未納」「裁判の判決が出ました」「賠償が求められています」と不安を煽る内容を矢継早に伝えました。
恐怖にかられた男性は、2020年の7月2日から10月29日の間に、金融機関のATMで50回ほど振り込みを続けました。
合計で4,800万円を入金した上に、電子マネー50万円を買わされた為、合計4,850万円を騙し取られてしまったのです。
「返金の手続きができる」という詐欺師の言葉を信じた男性は、指定された日に連絡がなかった段階で、ようやく「何かおかしい…」訝り始めました。
そして自身の家族に相談したことで、詐欺が発覚しました。
ここまで読み進めて「もっと早い段階で、家族に相談すればいいのに…」と思った方もいるでしょう。
実は、男性の相談が遅れたのには理由があります。
詐欺師から「もし家族に話したら返金が不可能になる」と前もって伝えられて、行動を操作されていたのです。
ずる賢い詐欺師ほど、このように騙すターゲットのとるであろう行動を先読みし「くれぐれも、こういうことはしないようにしてくださいね」と釘を刺すことを忘れません。
そして被害者が「自分は騙されていたのか!」と、理解した頃、詐欺師は忽然と姿を消していることが多いのです。
ちなみに
- 法務省
- 裁判所
- 事業者
が「料金未納の支払い」という理由で、「近くのコンビニで電子マネーを購入して下さい」とお願いすることはまずありません。
もし、こうしたことを言われたとしたら、その瞬間「これは詐欺に違いない!」と気づけるようになっておけることが理想でしょう。
詐欺師は不安商法を頻繁に利用
合計4,850万円を騙し取られた埼玉県の男性を例に挙げるまでもなく、ほとんどの詐欺はターゲットの不安や恐怖を煽ることによって、金銭を搾取します。
不安商法は、消費者の不安を煽ることで収益を得る悪質な手口の呼称です。
オールバックで歯に衣着せぬ発言で、一時期人気を博した、体型的には細い木の要素など皆無で「名前、太木に変えはったらどないです?」とツッコミたくなる女性占い師の決めゼリフは「あんた地獄に落ちるわよ!」でした。
こんなことで人の心を圧迫する占い師の方が、よっぽど地獄に落ちると思うのですが(笑)、太木先生のやっていたものは、わかりやすい不安商法ですね。
ちなみに当時、おさるで活動していた彼が、モンキッキーに改名したものの、それで大ブレイクしたかといえば否。
当人も「なんやねん。結局、改名の効果なかったやんけ!」と感じたのか2020年10月13日には、最初のおさるに名前を戻しています。
「地獄に落ちる!」などと、剣呑なことを顔デカオールバックおばさんに言われると、怖くなり、名前まで変えてしまうというわかりやすい例でしょう。
自己責任といえばそれまでですが、人生をいささか遠回りさせられたように思えるおさるさんに、同情を禁じ得ません。
どちらかといえば、不安商法はファクト重視な分野よりも、曖昧さで成り立っているファジーな分野でよく確認できます。
霊感商法、開運商法と不安商法は深く関連づいており、「あなたはが不幸なのは先祖のたたりが原因」「この印鑑を購入すれば不幸から免れることができます」などと、口にして金銭をせしめます。
「我が人生、永久ハッピー!イェイ♪」なんて能天気に暮らせる人なんてほぼいないでしょう。
人間生きていれば、なにがしかの悩みやネガティブなものを必ず抱えているものです。
そこへ、ひょいっとやってきて、サササッと入り込んでくるのが不安商法というわけですね。
実はこのやり方、何百年も前から存在していたのです。
不安商法のルーツははるか昔まで遡る
詐欺師や詐欺業者が頻繁に用いる不安商法とはどういったアプローチなのでしょう?
「不安商法のルーツはキリスト教にあり」という説もあります。
キリスト教には宗派があり、もちろん全てのキリスト教に関連づけることはできないものの、その昔、カトリックでは「免罪符の購入により、あなたが犯した罪や不安を全てなかったことにします」と流布して、収益化していました。
「贖宥状(しょくゆうじょう)、贖宥符(しゃくゆうふ)とも称される免罪符を、格好のマネタイズのチャンス!」と捉えたのは当時のフィレンツェの教皇レオ10世です。
彼は時の富豪メディチ家の次男であり、どうすれば民衆の感情をコントロールして金銭的な搾取をできるかについて熟知していたのでしょう。
ユリウス2世から、聖ピエトロ大聖堂の再建という大仕事を受け継いだレオ10世は、フッガー家の融資を受けることになりました。
しかし、融資を受けたものの、返済のあてがあったわけではありませんでした。
そこで「民衆相手に免罪符を売ることで、借金返済にあてよう」というアイデアを思いついたのです。
教会を中心に仕掛けられた免罪符は、当時のドイツでバカ売れする騒動になりました。
罪や不安で苦しむ人々ほど「現世の罪状はすべて消える」という名目の免罪符は魅力的だったのでしょう。
贖宥状を手に入れようと、とりわけ多くの女性が「私にもちょうだい!」と列を作りました。
当時の教会が仕掛けたやり方は、かなりシンプルな不安商法といえます。
「免罪符がなければ、不幸になる」と暗に伝えているようなものですから、昔から仕掛ける側も騙される側もそれほど変化していないことがわかりますね。
不安商法の別名恐怖マーケティングとは?
恐怖マーケティングは、不安マーケティング、恐怖訴求とも呼ばれる商法です。
テレビCMでよく用いられてきました。
例えば、潔癖症の方々ほど不安を煽るのに容易な人達はいないかも?
ハウスダスト、ダニ、細菌などをこれでもかと拡大することで「あなたの周囲には不潔でいっぱい!」と不安を煽ります。
例えば、ダニは汚いイメージを持たれやすいものの、実は私達の顔の表面にもダニはたくさんいます。
今、あなたがこちらの記事に目を通している、この瞬間も顔ダニは生息しており、ワサワサと躍動的に動き続けています。
顔ダニは「ひとつの毛穴に5匹程度いる」といわれており、トータルにすると総数200万匹以上です。
我々は顔にダニを飼育しながら、素知らぬ顔で暮らし続けてきたのです。
こんなことを書いたらファンの方に怒られそうですが、ガッキー、綾瀬はるかさん、広瀬すずさんなどの美女の顔にもびっしりと顔ダニはいるはずです。
どうですか?
こうした情報を与えられると、途端に気持ち悪さを覚えませんか?(ちなみに人の顔よりも、スマホの表面の方がよほど雑菌だらけです)
恐怖マーケティングは、このように印象づきやすいものをフォーカスし、芽生えたユーザーの不安を取り払うために「どうでっか?こんなもん、おまっせ!」と浪速商人のように、何かを売りつける手口です。
「恐怖訴求を商法に使うのはもう時代遅れ」という意見もありますが、不安や恐怖は喜怒哀楽レベルでずっとずっとあり続けるものです。
だからこそ、人間がこの世に存在し続ける以上、ネガティブ感情を煽ったあくどいやり方はずっとなくならないのでしょう。
不安になりすぎると人がパニックに陥るわかりやすい事例
2020年の2月~3月にかけて、新型コロナウイルスの蔓延が日々、メディアで報道され続けた結果、ティッシュペーパー、トイレットペーパーの買い占めが起こり、一時期入手困難になったのはまだ記憶に新しいはず。
1970年代に日本で起こったオイルショックでの、トイレットペーパーの買占めを彷彿とさせる、集団ヒステリー的行動でした。
あれこそが、まさに不安が原因で起こった事例といえます。
日本人は他の民族よりも、不安になりやすい遺伝子を持っているといわれていますが、オーストラリアでも同様の騒ぎが発生しました。
新型コロナウイルスが原因で不安に陥った人達がスーパーに押し寄せ、我先にとトイレットペーパーを争う争奪戦にまで発展しました。
女性同士が、たったひとつのトイレットペーパーを巡り、掴み合いをする事件も起こりました。
不安にかられて正常な判断ができなくなるのは、何も日本に限ったことではないようです。
架空請求メールが届いた後、NGな行動
- メールの内容を信じ込む
- メールで指示されたように動く
- 誰にも相談せずに早急な自己判断をする
- 詐欺業者に連絡を返す
「無視して反応を示さない」だけを常々意識しておけば、問題ないのですが、初めての架空請求詐欺のメールを受け取った場合は、つい慌ててしまうものです。
「このまま放置しておくと、さらにお金がかかっちゃう…」「私とんでもないことをしてたみたい…」などと動転してしまう人もいるでしょう。
メールを何度も読み返すと、恐怖心が高まるだけです。
まずは一旦、スマホや携帯の画面から目線を外して深呼吸するのがおすすめです。
人間は慌てれば慌てただけIQが下がるのも事実です。
詐欺を仕掛ける側は、考える間を与えずにお金をせしめようと画策しています。
まずできるのは「そもそも、このメールを信じる根拠は何なのか?」と自問自答することです。
自己判断できそうにない場合は、すぐに信頼できる他者へ相談してみることを推奨します。
不安になったらまず公的機関に相談
少しでも「あれ、これちょっと怪しいかも?」と少しでも思えば、誰かに相談するのがベストです。
単身者であったり、すぐに家族や友人、知人に相談できないような環境にいる人は、公的な機関を積極活用しましょう。
最も簡単にアクセスしやすい相談窓口は消費者ホットラインです。
電話番号は局番なしの188。
「詐欺はいやや(188)」と覚えやすいですね。
土曜日、日曜日、祝日に都道府県などの消費生活センターが営業していない場合は、国民生活センターへつながるようなシステムです。
消費者ホットラインが込み合っていて電話がつながらない場合は、平日バックアップ相談の電話番号(03-3446-1623)を教えてもらえますので、そちらにかけるようにしてください。
裁判所を名乗られた場合は、電話番号案内に問い合わせをして裁判所の番号を教えてもらい、そちらへかけて確認するというのも有効な手段です。
焦ったからといって自己判断をしないよう心掛ける意識づけこそが、詐欺被害を未然に防ぐことにつながるでしょう。
まとめ
メールによる架空請求詐欺の実態について解説しました。
スマホや携帯電話が大変便利ですが、身近にありすぎる分、詐欺に遭遇する機会が昔よりも多くなったことは否めません。
騙されかねない機会が増えていることを自覚せずに、性善説で生活し続けるのはあまりにも危険です!
あなたもぜひトラストリテラシーを高めて、詐欺師が仕掛ける巧妙なトラップに引っかからないようご注意くださいね。